SDL Trados (トラドス) を使って機械翻訳のポストエディットをする

機械翻訳と翻訳支援ツール

今回はSDL Trados(トラドス)×機械翻訳でどんなことができるのか見ていきます。

SDL Tradosは、翻訳業界で最もよく使われている翻訳支援ツールです。

過去の翻訳データをデータベース化して活用し、コストと時間を削減するという概念を広めたツールでもあります。機械翻訳との連携も、もちろん可能です。

今回は、SDL Trados×機械翻訳の使い方をご紹介していきますね。

SDL Trados と機械翻訳エンジンの連携

SDL社は、前回紹介したMemsourceと異なり、自社で機械翻訳エンジンAdaptive MTを開発しています。

そのため、当然ながら、他社の機械翻訳エンジンとの連携について積極的に紹介したページは見当たりません。ただ、GoogleやMicrosoftの機械翻訳エンジンやロゼッタ社の熟考など、SDL Tradosと連携可能な外部の機械翻訳エンジンはあります。

SDL Tradosと機械翻訳エンジンの連携方法は、エンジンによって異なります。

 

SDL社のAdaptive MTは、SDL Language Cloud に登録して使います。SDL Tradosのライセンスを持っていれば、無料お試しもできます。

Google機械翻訳エンジンについては、SDL Adaptive MT と同じように、SDL Trados 上に直接APIコードを入力して使います。【Googleと翻訳支援ツールの連携②:SDL TradosとMemsource】でGoogle機械翻訳エンジンのAPIをSDL Tradosに設定する方法を説明しています。

他の機械翻訳エンジンは、SDL APP Store というSDL Tradosと連携させて使えるアプリをダウンロードし、パソコンにインストールして使います。

SDL Trados では分節ごとに機械翻訳エンジンを読み込むか選択可能

SDL Tradosエディタ上では、連携している機械翻訳の翻訳結果が、翻訳メモリと同じ個所に表示されます。

ですがここでひとつ、SDL Tradosでできる細かい設定をご紹介します。

Googleと翻訳支援ツールの連携①:セキュリティと料金の疑問はこれでスッキリ】の記事で説明したとおり、Googleの機械翻訳エンジンは、翻訳支援ツールのエディタに読み込ませた時点で課金が発生します。エディタ上に表示された時点で、すでに機械翻訳の訳が呼び出されているからです。

他の機械翻訳エンジンでも、通常、同じ仕様になります。

SDL Tradosエディタ上で翻訳メモリと機械翻訳の訳が表示される例

 

ところが、SDL Tradosでは、一定以上の一致率の翻訳メモリがヒットする場合には、機械翻訳エンジンを呼び出さないようにすることが可能です。

かゆいところに手が届く、細かい設定ができるところが、SDL Tradosの良いところですよね。

設定方法は次のとおりです。

プロジェクトの設定 / 翻訳メモリと自動翻訳 / 検索 の ”TMとの一致が見つかった場合でも機械翻訳で分節を検索する” のチェックを外しておく。

SDL Trados 翻訳メモリがヒットする場合には機械翻訳の訳を表示させない設定

SDL Trados 上で前翻訳で機械翻訳を使う

SDL Trados で翻訳する前に、翻訳メモリを一括で流し込むときは、”一括処理”を行います。

このとき、設定した一致率以上の翻訳メモリがない場合には、機械翻訳の訳を挿入することができます。設定方法は、次のとおりです。

一括タスク / 一括翻訳を選択した後の設定で、”自動翻訳を適用する”にチェックをいれます。

SDL Trados 機械翻訳の一括流し込み設定

 

エディタ上の前翻訳でも、機械翻訳の訳をいれるかどうか、選択できます。

エディタ上では、分節の翻訳が確定すると、カーソルが次の分節に移動します。そのとき、使用できる翻訳メモリがない場合には、自動的に翻訳メモリや機械翻訳の訳が挿入されます。

機械翻訳の翻訳結果を自動的に挿入したくない場合には、次の設定をします。

オプション / エディタ / 自動化 から、”TMとの一致が見つからない場合は自動翻訳を適用する” のチェックを外しておきます。

SDL Trados 前翻訳で機械翻訳を使わない設定

SDLのコミュニティサイトの活用

機械翻訳とは少し脱線しちゃいますが、ここで、コミュニティサイトについてご紹介します。

SDL Tradosには、製品グループごとにコミュニティサイトがあります。使用にあたって特にバージョンの制限などもないようで、トライアル版のユーザーでも使用できます。

①利用するときは、コミュニティサイトの「Product Croups」から、質問に該当するカテゴリーを選択します。

SDL Tradosコミュニティサイト:https://community.sdl.com/product-groups/

②NEWボタンを押して質問を入力します。(英語)

シンプルな操作だけではなく、連携アプリのダウンロードのことや、機械翻訳との連携のことなど、色々なことが質問できます。実は最近確認したいことがあって質問をしてみたのです。数時間後には丁寧な回答をもらえて、驚きました。

もちろんこういったところで聞けない質問の場合には有料サポートを利用したほうがよいのですが、そうでなければ、個人的には、コミュニティサポートで十分だと感じました。

まとめ:SDL Tradosと機械翻訳の連携

今回はSDL Trados上で機械翻訳を使うときの次の設定について紹介しました。

※なお、SDL Trados2019を使用して紹介しています。バージョンによっては同じ機能がない場合があるのでご注意ください。

ポイント

SDL Tradosには、一定の一致率以上の翻訳メモリがある場合には機械翻訳の翻訳を結果を表示させない設定がある

エディタ上では次の分節にカーソルが移動したときに、一定の一致率以上の翻訳メモリがなければ、機械翻訳の訳をいれるかどうか選択が可能

一括翻訳を行う際、翻訳メモリがヒットしないところに機械翻訳の訳をいれるかどうか選択可能

 

こうしてみると、SDL Tradosは、翻訳メモリとの上手な併用を視野にいれて作られている感じがしますね。

SDL Tradosでは色々な連携アプリがあり、また、無料のコミュニティサイトを活用して、細かい疑問を解消することもできます。翻訳業界で長い間使われていたツールだけあって、こういった体制が整っているのがまた良いところですよね。

前回紹介したMemsource上で機械翻訳を使う機能と比較してみると、また面白いです。SDL Tradosの場合には、色々と細かい設定ができて、かゆいところに手が届く、といった感じがします。

今後も機械翻訳の進化とともに、翻訳支援ツールがどう進化していくか、楽しみですね。翻訳支援ツール上で翻訳メモリと機械翻訳、そして用語集を併用しながら、翻訳を効率的にすすめていきましょう。